教師はツラいよ

新米教員生活・本紹介などを主に。

教師が必ず直面するジレンマ~回転寿司屋さんにたとえると~

 

こんばんは。つか砂(tsukasuna)です。

ご覧いただきありがとうございます。

さて今回は、教師という職業が抱える「ジレンマ」についてお話ししたいと思います。

~目次~

1.教えることに付き纏うジレンマ

教師であれば誰でも目を逸らすことができない重大な問題。

それは、

「個」の学びを丁寧に見取りたいという願いと、

「集団」の学びを保障したいという願いに、

常に引き裂かれる運命にあるという問題です。

 「個」と「集団」を同時に教えることの困難です。

 

 

「『子どもをあしらうスキル』は、教師にとって大事な

スキルです」 

大学生時代、ある教授の何気ない呟きに、

教師を志して間もなかった私は、言葉を失いました。

 子ども一人ひとりと真摯に向き合うことこそが、疑いようもなく重要なことであると、

当然のごとく思っていたからです。

 

 

しかし後に明らかになったことは、

子ども一人ひとりと向き合いたい」という理想と、

学級集団全員の教育権を保障しなければならない」という要請の間には、

埋めがたい乖離があるということでした。

 

 これは、「制御された学校空間」における構造的なジレンマといえるでしょう。

 

2.学校という制度の本質的な役割

そもそも”学校制度”(とりわけ「学級制」において)とは、

歴史を辿れば「できるだけ多くの子どもに効率的に同じ知識を伝達するため」に設計された制度です。

当然そこには、「個」に応じた学びという視点がそもそも抜け落ちています。

そこで教師は、自身のスキルによってその乖離を埋めなければならないのです。

新規採用教員が初めに直面する問題は、

この「個」と「集団」のジレンマだと私はにらんでいます。

教員養成系大学を出て、教育の「理想」と「夢」に燃えてやってきた

新規採用の教師は、やがて様々な理想と現実のギャップに苦しむことになるでしょう。 

 

3.新卒採用の教師が陥るジレンマを、お寿司屋さんでたとえてみると

このジレンマをお寿司屋さんでたとえてみます。(不適切かもしれませんが。笑)

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学校を、某100円回転寿司チェーン店だと考えてください。

みなさんがご存知のように、回転寿司チェーン店の目標とは、

いかに素早く効率的に、お客様へ同じ品質のお寿司を届けられるか?」です。

その目標のために、回転レーン注文用タブレットなどの設備や、シャリをにぎるアンドロイドなどが惜しげもなく配置されています。

 

ですので、回転寿司チェーンでは、

イクラが軍艦から3粒ほどはみだしていることに激怒したり、

ネタのエビがシャリからずり落ちていることに遺憾の意を表したり、

シャリが機械で作られていることに異論を唱えたりする客は一人もいません。 

効率性・コストパフォーマンスが第一に優先されたお店だからです。

回転寿司とはそういうものだからです。

 

(しかし寿司チェーン店で働く人たちにも、職人としての夢があります。

大量のお寿司を機械でバリバリさばきながらも、

こっそりとシャリを手で握る練習をしたり、

率先して創作寿司を提案し、店の売り上げに貢献したり、

お店の枠組みの中で、自分にできる工夫を見つけ、日々腕をみがいています。)

 

 そんなチェーン店へ、新人(新規採用の教師)が入社してきます。

新人は、「寿司屋とはどうあるべきか」について自分なりの理想をもち、

優秀な成績で調理専門学校を卒業してきた期待の新人でした。

目の前のお客さんに、世界一うまい寿司を握ってあげたい

それが、彼の夢でした。

 

しかしそんな崇高な理想を語る余裕もなく、

現場の目まぐるしさに翻弄され、理想と現実とのジレンマに悩む日々となりました。

「当然だが、お客さんは、目の前にいる一人だけではない。

(いやそれなら、チェーン店でなくて老舗の名店に弟子入りしろよというご指摘もあると思いますが、これはあくまでたとえですので、ご了承ください) 

 

4.まとめ~夢と現実の狭間で~ 

教育現場の話に戻りましょう。

教師にとって、学びを保障すべき子どもは、目の前の一人だけではありません。

とはいっても、集団ばかりを見ればよいというわけではないのです。

ここが最も「技術」の必要な部分です。

教育は、「技術」です。

制度の枠をうまく使いながら、

ときには目の前の「個」に働きかけ、

ときには「集団」にも働きかける技術。

 

私たち教師は、

限られた枠組みの中で、精一杯がんばっています。

 

ご覧いただき、ありがとうございました。 

                      :tsukasuna